自社の借入限度額は?中小企業の借入を考えるための3指標

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(写真=Joyseulay/Shutterstock.com)

中小企業庁が発表している「2016年版 中小企業白書概要」によれば、日本における中小企業の割合は99%を超えており、日本経済の基盤を支えているといえるのではないでしょうか。しかし、大企業に比べて中小企業における資金繰りは依然厳しい状態にあります。事業の経営状態を見直すためにも、借入状況を把握する必要があります。借入を行った場合の返済財源や借入金限度額についてあらためて考えてみましょう。

中小企業の借入金依存度

借入金依存度とは、企業の総資産のうちどの程度を借入金で賄っているかを示した指標のことです。借入金は金利をつけて期日までに返済する必要があるため、借入金の割合が高いほど借入金返済の負担が増えて資金繰りが悪化するリスクがあります。

したがって、借入金依存度は企業の資金繰りの健全性を測る目安としても使用されます。また、同時に、金融機関が融資先の返済能力を審査するうえでも用いられる指標です。

「2016年版 中小企業白書」にある借入金依存度の推移を見てみると、大企業に比べて中小企業は借入依存度が総じて高い傾向にあります。特に金融機関以外への借入依存度が大企業よりも高く、中小企業製造業では11.6%、中小企業非製造業では11.7%となっています。結果として、親会社や代表者等から借入れるなど、金融機関以外からの借入金も中小企業にとっては重要な資金調達先となっていることが伺えます。

借入金の返済財源は

借入金の返済財源とは、借り入れた資金を返済するためのお金のことをいいます。具体的には、決算書の損益計算書に記載された「減価償却費」と「税引き後利益」の合計金額であり、これが前年度の借入金の返済にあてる財源となります。

減価償却費とは、企業が不動産や機械設備など長期間にわたって使用する資産を購入した際に、その購入価格を耐用年数に渡って費用として配分する金額をいいます。

つまり、減価償却費は既に購入した資産に対する概念的な費用なので、数字の上では経費として引かれるものの実際には手元から出ていかないお金であり、返済財源として使用することができるのです。これに税引き後の利益を加えた返済財源内での借入金返済をすることが「利益から返済していく」ということになります。

混同される方がいますが、売上高があるから借入金の返済ができている、というのは健全とはいえません。実際に計算してみて、借入金の返済財源よりも実際の返済額が上回っているなら、それは他に使うべき資金を先に返済額に充当してしまっているということです。したがって、徐々に資金繰りが悪化していく危険性があります。

借入の限度額を考える

企業の安定性は、総資産に対して借入金がどの程度の割合なのかという観点から測ることができます。過度の借入は会社の健全性を損ねるため、借入を行う際には借入の限度額を意識することが重要です。それでは、自社の借入の限度額はどのように知ることができるのでしょうか。これには目安として3つの指標があります。

・借入金対月商比

月商何ヶ月分の借入金を有しているかで判定します。業種によっても異なりますが、月商3ヶ月分以内の借入金なら比較的健全と言えるでしょう。逆に、月商6ヵ月以上の借入金がある場合は借入限度額に迫っている可能性があり、注意が必要です。

・債務償還年数

現在の利益水準を元に借入金完済までに何年かかるのかを計算します。これもはっきりした基準はありませんが、一般的に10年以内なら概ね良好な財務状況と判断します。5年以内ならなお良く、まだ借り入れできる可能性は十分高い状態です。

・流動比率

借入金の年間返済額が、年間で現金化される予定のフリーキャッシュフローでどの程度カバーされるかを見ます。もし、年間のキャッシュフローよりも返済額が少ないのであれば、まだ借入の限度額には達していないと考えられます。

借入の際はしっかりと返済計画を立てよう

中小企業は借入に依存する割合が大企業よりも多く、借入を繰り返す企業も少なくありません。しかし後先考えない過度の借入は、負債がますます膨らみ経営状態が悪化するというリスクが高まります。

借入を行う場合には、借入の限度額と返済財源を把握し無理のない返済計画を立てたうえで進めることが大切です。

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