中小企業オーナーが真似をしたい大企業の3つの人材育成の方針とは

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(写真=Michail Petrov/Shutterstock.com)

中小企業が抱える課題の一つとして従業員に対する人材育成が挙げられます。各社とも創意工夫して人材育成手法を取り入れていると考えられますが、特に成果を上げている企業の人材育成手法を参考にするのも効果的といえるでしょう。そこで、大手企業における、ブランド価値やイノベーションにつながる人材育成や、生産現場における安全に関する人材育成の手法を紹介します。

オリエンタルランド「キャスト」の人材育成

TDR(東京ディズニーリゾート)は2023年をめどに約100ヘクタールの敷地を3割程度拡張する計画であることが報じられています。2016年6月には4つ目のディズニーホテルとして東京ディズニーセレブレーションホテルをオープンさせており、さらなる集客に向けて積極的に設備投資を行っていることがうかがえます。

年間3,000万人ものゲストが来園する2つのテーマパーク運営に欠かせないのが、アルバイトやパートとして働く「キャスト」の存在です。TDRの確固たるブランドイメージやサービス品質を守るため、キャストに対する人材育成は運営会社であるオリエンタルランドの重要課題でもあります。

キャストにはディズニーの理念ともいえるSCSEと呼ばれる行動基準が徹底されています。Safety(安全)、Courtesy(礼儀正しさ)、Show(ショー)、Efficiency(効率)の4つの要素は目指すべき価値観であるとともに、安全性を最重要とする優先度を示すものでもあります。

こうした理念や目標を掲げる企業は多くありますが、オリエンタルランドには、それらが単なる標語に終わってしまわないための工夫があります。同社ではSCSEの行動基準が入社時の全体研修から各部門での個別研修まで、あらゆる段階に落とし込まれているのが一つの特徴です。

また、キャストには5つのグレード(資格)が設定され、能力の向上を目指します。各段階で求められる目標がSCSEに沿って設定されているのです。さらに、キャストには年に2回の評価面談が行われ、そこでも自分のパフォーマンスがSCSEに沿って評価できるようになっています。こうした各フェイズにおける行動基準の活用は、中小企業においてもおおいに参考になるのではないでしょうか。

マツダの共創を担う人材育成

2016年、マツダのロードスターがワールド・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。同時にワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーも受賞するという快挙でした。マツダはかねてよりイノベーティブな組織風土でも評価が高い企業です。こうしたマツダのイノベーションを支えるのが「課題形成」と「共創」を重視した人材育成といえます。

同社では、専門的な技能を向上させるのはもちろん、多様な人材と協働する上での共通言語となる課題形成力と共創によるイノベーションを重要視しています。このような2つの目標を、上記のディズニーの例と同様、各ポジションにおける研修制度にも反映させているのがマツダにおける人材育成の特徴です。専門知識が細分化すると同時に多様性が求められる現代社会においては、マツダが重視する「他者との共創によるイノベーション」がますます価値を持つものと考えられます。

安全を担う人材育成で成功した事例

2013年に株式会社労働調査会が公表した厚生労働省委託事業「次代の安全の中核を担う人材育成好事例集」というものがあります。内容は、特に製造業や建設業に属する中小企業の人材育成にとって示唆に富むデータベースが中心です。以下では事例集の中から株式会社明治十勝帯広工場(事例26)を紹介します。

同社の帯広工場では安全衛生教育を10~20代、30代、40代、50代以上という年齢階層別に実施しています。これは年代によって教育の力点が異なることを考慮した方法といえます。具体的には、若手の従業員には安全衛生の基礎的な部分を教えることがメインです。一方で、仕事に慣れが生じてきた年代では、高度な知識だけでなく、逆に基本に立ち戻ることも重視されています。こうした発想は安全教育には、特に有効なものといえるでしょう。

また、同社では3交代制をとっているため、交代による始業時にはミーティングでショートタイム危険予知訓練(SKYT)を実施します。つまり、「どのような危険が潜んでいるか」について、あらかじめ思考訓練を行うのです。生産工場などで一般的に行われているヒヤリハットや5S運動に加えて、こうしたミーティングを短時間でも取り入れることは、安全意識を高める上で効果的な方法といえるでしょう。

中小企業は解決すべき課題を明確にして、人材育成を行うことが吉

今回、紹介した各社の人材育成手法は、それぞれが重視する目標に応じて導入されているものです。まずは自社が解決すべき課題を明確にした上で、人材育成手法の開発や改善に取り組むと効果が期待できるでしょう。

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