中小企業が退職金のために備えておきたい共済制度。それが「中退共」

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(写真=designer491/Shutterstock.com)

中退共(中小企業退職金共済)は、従業員に支給する退職金の原資を準備しながら、企業側の節税も行うことができる制度です。以下では、類似の制度である小規模企業共済や民間の生命保険にも触れながら、中退共の仕組みやメリット、デメリットを解説します。

中退共(中小企業退職金共済制度)とは

中小企業退職金共済の仕組み

中退共は、1959年に中小企業退職金共済法に基づいて設けられた国の退職金制度です。掛金に対して国からの助成があることも特徴のひとつです。事業主が中小企業退職金共済事業本部(中退共本部)との間で従業員を対象とした「退職金共済契約」を締結することで加入できます。

毎月、事業主の負担で共済掛金を納付することにより、将来において従業員に支払うべき退職金の原資を準備することが可能です。従業員が退職した際には、従業員が中退共本部に請求することで、退職金が中退共本部から従業員に対して直接支払われるという特徴があります。

掛金月額は5,000~3万円の16種類から従業員ごとに選択することが可能です。また、パートタイムの場合は16種類に加えて、2,000円、3,000円、4,000円の3種類の「特例掛金月額」を選択することもできます。

具体的には、初めて中退共制度に加入する事業主に対しては「新規加入助成」となります。加入後4ヵ月目から1年間にわたり従業員の掛金月額における1/2(従業員ごとの上限5,000円)が助成されるのです。また、掛金月額を増額変更する事業主に対しては「月額変更助成」として、1年間にわたり増加額の1/3に相当する金額が助成されます。

中退共(中小企業退職金共済制度)のメリット

中退共のメリットとしては、上記の掛け金に対する助成があるほか、掛け金の全額が法人の損金や個人事業の経費にできるという税務上の取り扱いが挙げられます。また、毎月の掛け金は給与所得に該当しませんので、事業主が源泉所得税を徴収して納付する必要もありません。

従業員にとっても、退職金を一時金として受け取る場合には退職所得とされるため、ほかの所得と比べて税務上の優遇を享受することが可能です。退職所得には勤続年数20年までは1年ごとに40万円、20年を超える年数については1年ごとに70万円の退職所得控除額が認められています。

例えば、勤続年数25年の従業員が退職して退職金を一時金で受け取る場合には、1,150万円(=20年×40万円+5年×70万円)までの退職金であれば所得税がかかりません。税務上のメリット以外にも、従業員が転職する際、すでに積み立てられている退職金を一定の要件のもとで、ほかの企業の中退共などに引き継ぐことができるというメリットがあります。

中退共(中小企業退職金共済制度)のデメリット

一方で、中退共で留意すべき点としては、加入条件が挙げられます。中退共に加入できるのは、卸売業であれば常時雇用する従業員数が100名以下または資本金1億円以下が要件です。小売業であれば常時雇用する従業員数50名以下または資本金5,000万円以下などの要件を満たす企業になります。

特定業種の退職金共済に加入している場合は、重複して中退共に加入することはできません。また、退職金支給の対象となるのは従業員だけであり、事業主や法人の役員も基本的に加入は不可です。これら具体的な要件については、中退共本部が配布するパンフレットなどで対象となっているのかをよく確認することをおすすめします。

また、掛け金の納付期間が1年未満で退職した場合には退職金がまったく支払われないほか、2年未満で退職した場合には掛金額より退職金額が少なくなります。

退職金には小規模企業共済や民間の生命保険の活用も検討しよう

事業主や法人の役員は中退共に加入できないため、オーナー会社などで退職金を利用した節税などを考えている場合もあるでしょう。対策としては事業主や会社役員を対象にした小規模企業共済や民間の生命保険会社の商品を活用する方法が検討できます。

小規模企業共済では、毎月の掛け金は1,000円~7万円まで500円単位で設定可能です。さらに、掛け金の全額が所得から控除することができます。また、民間の保険商品では、加入後に解約返戻金が最大化する時期や損金算入のパターンなどで選択肢の幅が広がるでしょう。それぞれの制度や商品設計の特色を理解したうえで、節税と退職金対策を使い分けることが賢明です。

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