ポイントは4つある 『医療法人会計基準』を徹底解説

(写真=Fh Photo/Shutterstock.com)

国は2014年に医療法人会計基準を定めました。従来、医療法人の会計処理については明確な基準はなく、簡素な会計処理が行われていました。しかし、2014年3月に厚生労働省医政局長より医療法人会計基準についての通知が発行され、「一般に公正妥当と認められる会計の慣行」を具体化するものとして、『医療法人会計基準』が制定されました。これは、2016年の医療法の改正を受けて、一定基準を満たす医療法人に関しては義務化されています。

簡単にいえば、医療法人会計基準とは、従来は簡素化されてきた医療法人の会計が、より、一般的な企業と同じような基準によって行われるようになったと言えるでしょう。

純資産の部にかかる会計処理を規定

医療法人会計基準は、純資産の部にかかる会計処理を規定したものです。少し難しい印象をもたれる方が多いのではないでしょうか。以下、ポイントを絞って説明します。

● ファイナンスリース取引
ファイナンスリース取引とは、リース契約期間中に中途解約を行うことができないリース取引を示します。医療法人においては高額のリース契約を行っている場合が多いことから、ファイナンスリース取引について、医療法人会計基準において定められました。

具体的には、リース料総額が300万円未満の取引や、リース取引開始日が医療法人会計基準適用前の年度の場合には賃貸借処理を行うことができると定められました。

ファイナンスリース取引は資産に類似した扱いをされることもありますが、医療法人会計基準においては、上記に該当した場合には、「借りている」という処理を行い、費用として計上することと定められたのです。

● 退職給付会計
退職給付会計とは、企業が従業員の退職金を積み立てる際に、積立金に一定の割引率を乗じて毎年費用計上する会計処理です。医療法人会計基準においても、この退職給付会計が採用されました。

● 固定資産の減損処理
固定資産の減損処理とは、資産の収益性の低下によって、投資額の回収が見込めなくなった場合に、資産の価格を回収可能な金額まで減少させる会計処理です。

医療法人の場合には、製造業などのように、急激な技術革新などによって減損処理を行う必要がないため、原則的に減損処理の基準は適用されません。しかし、時価の著しい下落に伴う評価減の際には、使用価値を考慮することができると定められています。

● 税効果会計
税効果会計とは、会計と税務にずれがある場合に、会計上の利益である税引前当期純利益と、法人税の税額を調整する会計上の手続きを示します。

例えば会計上「減価償却繰入超過額」がある場合には、税務上は、この費用は損金(税金計算上の費用)とはならないため、税引前純利益に、減価償却繰入超過額を加えて計算します。要するに、税金の支払いの際に、その期では損金算入できない費用を繰延税金資産として資産化して翌期まで取っておくのが税効果会計なのです。

医療法人会計基準では、原則税効果会計を適用しない場合も考えられる旨が定められています。

曖昧だった会計基準が明瞭化

医療法人会計基準は、医療法人だけに適用される会計基準です。医療法人は売上である医療報酬の大部分が保険料で賄われるため、会計基準に曖昧な側面がありましたが、医療法人会計基準の導入によって、医療法人についても会計基準が明瞭化されました。

会計士や税理士に相談すれば、医療法人会計基準に基づいて処理を行ってくれます。

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