なぜ医療機関にも組織マネジメントの強化を求められるのか

(写真=CA-SSIS/Shutterstock.com)

マネジメントは組織が成果を上げるための仕組みで、一般企業でも医療機関でもマネジメントが必要になります。人の命を預かっているだけではなく、治験業務を通じて新たな医薬品の開発に繋げ、高い成果を出そうとしている医療機関もあることから、医療機関のマネジメントの強化は注目を集めているのです。

マネジメントの強化が必要な理由

医療機関の新規開設が後を絶たず、1993年から2015年までに一般診療所が25,000件ほど増加したとされています。一方で、毎年5,000件以上の開業医が誕生するのに伴って休止や廃止となる診療所も少なくありません。例えば2008年や2011年は新規開設よりも休止や廃止となった診療所の数が上回っています。

また、昨今では国際共同治験が増えたことで、診療所に限らず大きな医療機関も内部組織の効率改善が必要となってきました。医薬品産業のビジネスモデルは特許の独占期間中に利益を出すために早期の製造販売が求められます。

そのため、各機関のタイム・マネジメントが大きな意味を持つようになっています。各医療機関が競争の中で利益を出して行くためには、マネジメントの強化を行い、差別化を図ることが必要不可欠と言えます。今後は品質のみならず効率性を求めた環境を模索する必要があると言えるでしょう。

組織基盤強化のためのマネジメント方法

マネジメントによって成果を上げるためには、組織基盤を強化する必要があります。まず、組織の構成メンバーとしてプログラムマネジャーを配置します。プログラムマネジャーは横断的な立場でスケジュールやコストを管理し、受託した案件の進捗を最適化するのが役割です。プログラムマネジャーは該当案件に関する経験が豊富で、各部署などと細かな調整を行える人物が望ましいとされています。

次にスタディリーダーを決めます。スタディリーダーは個々の案件の進捗管理と業務調整を担います。進捗管理を行う役割はどの組織にも存在するかもしれませんが、スタディリーダーはマネジメントにおいて責任が明確にされています。そのため、スタディリーダーは案件の担当者とは独立したポジションであることが重要だとされています。

個々の治験を最適化するためのマネジメント方法

組織全体のパフォーマンスを向上させるには、基本となる個々の能力を高めることが重要です。医療機関の治験受託業務であればいわゆる「ムリ・ムラ・ムダ」を排除する仕組みが求められます。

治験依頼者の調査は、短期間で詳細な内容を依頼する場合があります。そのため、ムリな調査スケジュールを立てれば調査の精度にムラが出て、結果としてムダな作業が増えるかもしれません。そのため、調査業務のフォーマットをあらかじめ用意し、作業の最適化を図ることが大切です。また、施設体制への調査は必要な情報をネット上に事前に公開しておくことで各企業との共有漏れ等を防げます。

さらに速やかに業務に着手し、エラーを出さないようにするためには、治験の実施内容を理解して業務を行う必要があります。そのためには、担当医師だけではなく看護部や薬剤部などの関連部門の連携が重要となります。各部門の連携の強化と治験内容の読解力向上のトレーニングを行えば、組織全体の能力の向上も見込めます。

また、治験依頼者に行うヒアリングを定型化し、予め主な確認事項を開示すれば治験依頼者から治験前に回答を得ることができます。また、資料から読み取れない情報について改めて治験依頼者へ問い合わせを行うと業務がスムーズに進みます。

医療機関も競争の時代

マネジメントを重要視する医療機関と、そうでない医療機関ではマネジメント力に差が出始めています。これまで医療機関は専門家集団という位置づけでしたが、近年は医療機関も競争を避けては通れない時代となりました。医療機関も長期的なビジョンを持ち、マネジメントスキルの育成を行うことが重要だと言えるでしょう。

※当記事は2017年7月現在の情報に基づき制作しております。最新の情報は各関連ホームページなどをご参照下さい。

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