介護事業者が人手不足を解消するために検討すべき助成金4選

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(写真=Micolas/Shutterstock.com)

内閣府の「平成29年版高齢社会白書(概要版)」によると、2016年10月1日現在、日本の総人口に占める、65歳以上人口の割合(高齢率)は27.3%です。今後、更に高齢化が進むと推定されており、政府は介護サービスの確保などでの対応を計画しています。

市場拡大は介護事業者にとってチャンスといえますが、公益財団法人介護労働安定センターの「平成27年度介護労働実態調査結果」を見ると、61.3%の事業所が従業員不足の様子です。そこで、従業員不足解消に役立ちそうな助成金を4つご紹介します。

人手不足を助ける助成金

前述した「平成27年度介護労働実態調査結果」では、従業員の採用が困難な理由の主な原因として「賃金が安い」「仕事がきつい(肉体的・精神的)」が挙げられます。人手不足を解消するには、賃金制度の整備や介護労働者の身体的負担の軽減対策が求められます。

そこで利用したいのが「職場定着支援助成金」です。これは雇用管理改善の推進、人材の定着・確保と魅力ある職場の創出を目的とするもので、雇用管理制度の導入などを通じて、離職率の低下に取り組む事業主に対して支給されます。職場定着支援助成金には4つのコースがあり、うち「介護労働者雇用管理制度助成コース」「介護福祉機器助成コース」は介護事業者を対象としています。

介護労働者雇用管理制度助成コースは賃金面に関する助成、職務、職責、職能、資格、勤続年数等に応じて段階的に定める賃金制度の整備、離職率に関する計画を達成することで助成を受けられます。賃金制度整備時には50万円、離職率目標を達成時し、計画期間終了1年後に57万円、3年後に85.5万円が支給されます。

介護福祉機器助成コースは介護労働者の身体的負担の軽減を目的に、新たに介護福祉機器を購入、適切な運用によって労働環境の改善が認められた場合、機器導入費用の25%が150万円を上限に支給されます。またそれにより離職率の低下が図られれば、機器導入費用の20%(生産性要件を満たした場合は35%)が150万円を上限に目標達成助成が支給されます。なお、どちらの場合も生産性要件を満たした場合は助成金の額がアップします。

従業員を採用するための助成金

介護事業者の採用の助けとなりそうな助成制度に「トライアル雇用助成金」があります。トライアル雇用助成金は、職業経験の不足などから就職が困難な求職者を原則3ヶ月間試行雇用することにより、その適性や能力を見極め、常用雇用への意向のきっかけとすることを目的とした制度です。

仕事がキツイというイメージから介護の現場で働くことをためらい、介護労働者として就職をしたものの、適正不一致で離職してしまうことも人手不足の要因です。3ヶ月間、お試し期間として働いてもらうことで、雇用者・労働者ともに適性確認ができ、安心して採用に取り組めるのがメリットです。事前にトライアル雇用求人をハローワークや職業紹介事業者に提出し、これらの紹介により対象者を原則3ヶ月の有期雇用で雇い入れ、一定の要件を満たした場合に、対象者1人当たり月額最大5万円の助成金を最長3ヶ月間受けることができます。

雇用維持のための助成金

人手不足が続くと事業にも影響を及ぼしかねません。結果的に事業縮小、必要な人材までリストラを余儀なくされる場合もあるでしょう。人手不足に悩む介護事業者にとっては一時的な調整をしたとしても、必要な人材は雇用維持したいものです。その対策として「雇用調整助成金」の利用を検討してみましょう。

雇用調整助成金とは、経済上の理由で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に休業および教育訓練、または出向により労働者の雇用の維持を図る場合に、休業手当や賃金の一部を助成するものです。受給額はそれぞれ、休業を実施した場合は休業手当、または教育訓練を実施した場合は賃金相当額、出向を行った場合は事業主の負担額に対し、大企業は1/2、中小企業は2/3を乗じた金額です。ただし、対象労働者1人当たり日額は8,205円が上限です。この助成金を受けるためには、最近3ヶ月の売上高などの生産指標や、最近3ヶ月間の月平均雇用指標条件等、一定の条件を満たす必要があります。

仕事と家庭を両立するための助成金

従業員の職業生活と、家庭生活の両立支援に取り組む事業者が利用したいのが「両立支援等助成金」です。両立支援等助成金には事務所内保育施設コース、出生時両立支援コース、介護離職防止支援コース、育児休業等支援コース、再雇用者評価処遇コース、女性活用加速化コースの6種類あり、種類によって助成金の金額や受給条件が異なります。人材確保のためには、従業員が職場を離れてしまわないように、仕事と家庭を両立しやすい労働環境をつくることが重要です。介護労働者にも家庭があることを忘れずに、両立のためのサポート体制を整えることが人手不足を防ぐための方法です。

助成金を有効に活用しよう

人手不足を解消させたい介護事業者が、利用すべき助成金を4つ紹介しました。助成金は他にもさまざまなものがあり、それぞれに目的と条件、受給額などが異なります。助成金を、事業の課題解決に有効活用してみてはいかがでしょうか。なお、助成金の種類や内容はその時々で変わります。定期的にチェックして、最新情報を確認しましょう。

※当記事は2017年7月現在の情報に基づき制作しております。最新の情報は各関連ホームページなどをご参照下さい。

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