中小企業が検討すべき9つの資金調達方法とは?

中小企業にとって「資金繰り」は重要なテーマの1つです。中小企業が活用できる資金調達方法にはどんなものがあるのでしょうか。以下では、公的・民間を問わず一般的な選択肢を取り上げていきます。

 

銀行からの融資

融資は、資金を提供する側からすると「お金を貸す」こと、資金を必要とする中小企業側からすると「借金」です。 代表的な金融機関である銀行から借り入れることで、運転資金や設備のための資金を手にできます。

●中小企業でも活用できる?

銀行融資は中小企業でも活用できます。しかし、そのためには十分な信用と良い経営状態が必須です。銀行側に「この会社は確実に返済できる」と思ってもらう必要があります。銀行の担当営業が個別に相談に乗る通常の融資と、審査フローや条件を定型的にし、貸出までのスピード性を高めたビジネスローン(法人向けカードローン)があります。

●金利

金融機関によって幅があります。 詳しくは各種金融機関のWebサイトをご確認ください。

日本政策金融公庫の融資

政府が100%出資している政策金融機関から融資を受けることができます。すべては地域を担当している支店へ相談に行くことから始まります。

●中小企業でも活用できる?

日本政策金融公庫は、中小企業を対象にした長期融資を扱っています。業種や企業規模によって「どの融資制度」を利用できるかが決まります。

●金利

日本政策金融公庫の金利情報ページにてご確認ください。

 

地方自治体による制度融資

地方自治体による制度融資とは、中小企業の資金調達を円滑にするために、各地方自治体が金融機関や信用保証協会と連携して提供している制度のことを指しています。

●中小企業でも活用できる?

目的が「中小企業の資金調達をサポートすること」である点と、金融機関にとって貸し倒れのリスクが少なくなる点からして、中小企業にとって身近な方法と言えます。

●金利

利子補給や信用保証料補助があるので、金利は日本政策金融公庫による融資とそれほど変わらないと考えられます。適用される利率は提供する自治体によって異なります。

 

ノンバンクからの融資

いわゆるノンバンクと言われる、金融事業を扱う事業者が行う融資です。銀行同様に、ビジネスローンや法人向けカードローンと呼ばれる商品や、特定の担保を示す商品があります。(例: 不動産担保ローン)

●中小企業でも活用できる?

中小企業でも活用できます。商品によっては、不動産などの担保や保証人が不要のものもあり、中小企業経営者にとっては手が届きやすい資金調達方法と言えます。

●金利

担保・保証人が不要な場合は金利は高くなる可能性がありますが、実際の金利は各社のWebサイト等にてご確認ください。同一のローン商品でも、利用限度額に応じて金利水準が変化します。

 

補助金・助成金の申請

事業内容や会社の規模によっては、国や自治体、企業から補助金や助成金を受けて資金の一部に充当することができます。

●中小企業でも活用できる?

補助金・助成金を受け取るためには一定の条件を満たさなければなりません。事前に募集要項を確認して、補助対象になる経費や割合、上限金額などを確認しておくほうが無難です。

●金利

融資と違って、補助金や助成金は「借金」ではなく、「返さなくてもいいお金」です。そのため金利は発生しません。ただし、受給のためには各種書類の提出や受給後の報告書の提出が求められる可能性があります。

 

他者からの出資

投資家や企業に株を割り当てることによって、資金面で援助してもらう方法もあります。これは資金を出す側から見ると「出資」、会社側から見ると「増資」になります。

●中小企業でも活用できる?

中小企業の多くは非上場企業で、株式を公開していないはずです。そんな中小企業でも、第三者割当増資によって資金調達することは可能です。

●金利

株式を購入する代わりに出資してもらうので、返済義務はありません。したがって金利は発生しません。ただし、業績によっては配当金の支払いが発生します。

 

クラウドファンディング

比較的最近登場した仕組みなので、多くの経営者にはまだ馴染みが少ないかもしれません。クラウドファンディングとは、インターネット上で不特定多数の人から資金を集める仕組みのことです。

●中小企業でも利用できるの?

クラウドファンディングにはさまざまな形態がありますが、その中でも「融資型」「投資型」であれば中小企業でも利用しやすい形態です。

●金利

融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)では、元本+金利を投資者に返済していくことになります。投資型クラウドファンディングに金利は発生しませんが、分配金や株式をリターンとして提供することになります。

 

友人・知人からの借り入れ

いくらかインフォーマルな方法になりますが、友人や知人からの借り入れによって資金繰りをする経営者がいます。

●中小企業でも利用できるの?

事業性資金として融資を受けるときには、後々のトラブルをなくすためにも正式な借用書を作成しておくと安心です。また、経理の面では資金の出どころを明確に記載しておく必要があります。

●金利

無利子融資なのか、それとも金利が発生するのかは、両者の話し合いによって決まります。

 

資産の現金化

融資や出資、補助金・助成金以外にも、個人や会社の資産を現金化することで資金調達が可能になります。代表的なのは不動産売却ですが、最近ではファクタリングなど手持ちの債権を現金化する方法も活用されています。

●中小企業でも活用できる?

手元に売掛債権があれば、ファクタリングという仕組みで期日より前に現金化できます。通常は専門業者に依頼して行います。

●金利

債権を売却したお金のため、ファクタリングに金利は関係しません。関係するのは業者に支払う手数料です。

 

最適な方法で賢く資金繰りしよう

資金調達について考えるとき、どうしても「金利はどうか」という観点で比較してしまいがちです。

たしかに金利設定はその後の返済に影響しますので、考慮すべき要素の1つと言えます。しかし金利ばかりに目を奪われていると本質を見逃し、困った事態に陥ってしまうことになりかねません。低い水準を狙うあまりになかなか融資が受けられず、資金がショートしてしまったら大変です。

そのときどきで最適と思える方法を活用して、賢く資金繰りをしていきましょう。

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中小企業経営者が知っておくべき新規事業の創出が失敗する理由とは

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(写真=Brian A Jackson/Shutterstock.com)

大手企業においても新規事業が失敗に終わり、撤退を余儀なくされたというニュースは頻繁に見かけます。新規事業の創出には失敗がつきものです。しかし、中小企業の場合は資金がなくなる可能性もあり、あまり失敗したくないというのが本音ではないでしょうか。そこで、今回はその原因を考察し、内容を解説していきます。

新規事業の平均的な成功確率は?

新規事業が失敗する原因を明らかにして成功確率を高めようという発想は合理的なものです。その前提として、「新規事業の成功確率はどの程度なのか」を把握しておくことも大切でしょう。新規事業の成功率は10~30%ともいわれます。経験則から述べられる数値が独り歩きする一方で、何らかの統計に基づいていても調査対象や方法によって数値に差があることも事実です。

ここでは、目安として2017年度「中小企業白書」(中小企業庁)のうち新事業展開に関する統計を取り上げてみましょう。同白書における新事業展開には「新製品開発戦略」「新市場開拓戦略」「多角化戦略」「事業転換戦略」の4戦略が含まれています。そのなかでも新規事業と意味合いが近い「多角化戦略」と「事業転換戦略」の数値に着目してみましょう。

同白書の事業分野の選択に関する調査では、多角化戦略をとる企業の回答数が「成功した(n=141)、成功していない(n=319)、全体(n=460)」、事業転換戦略をとる企業の回答数が「成功した(n=49)、成功していない(n=88)、全体(n=137)」となっています。

この数値からは成功した企業の割合が多角化戦略では30.6%、事業転換戦略では35.7%であることが読み取れます。なお、新製品開発戦略では30.4%、新市場開拓戦略では28.9%となっています。新規事業の成功率約30%という経験則の話は、あながち根拠のない数字でもなさそうです。

新規事業が失敗する大きな要因3つ

それでは、新規事業が失敗する要因を考えてみましょう。同白書によると、多角化戦略に失敗した企業の40.1%、事業転換戦略に失敗した企業の29.0%(いずれも複数回答の数値)が「必要な技術・ノウハウを持つ人材が不足している」点を挙げています。これらが1番の要因となっているのです。やはり、人材の確保で苦慮している企業が多い傾向ということがわかるでしょう。

2番目の要因は「販路開拓が難しい」点です。多角化戦略に失敗した企業の29.6%、事業転換戦略に失敗した企業の23.1%が課題として挙げています。これもマーケティングの重要性を改めて認識させる結果といえます。

3番目の要因は多角化戦略と事業転換戦略では別です。多角化戦略では「新事業展開に必要なコストの負担が大きい」との回答が25.5%、事業転換戦略では「市場ニーズの把握が不十分である」との回答が20.3%となっています。多角化では「既存事業との二重のコストが負担になっていること」、事業転換では「既存事業から撤退しているだけに市場ニーズとのマッチが死活問題であること」が推測できるでしょう。

販路開拓や市場ニーズの把握における問題は、需要予測の誤りと言い換えることができるかもしれません。新規事業ありきで事実認識やデータ分析を行うため都合の良い解釈をしてしまうこともあるでしょう。

新規事業失敗を回避する3つ施策

失敗する確率を低くするための施策としては、3つ挙げられます。

事業計画の立案に時間をかけること

上記の市場ニーズの把握や需要予測を慎重に行うことが大切です。たとえば商社における大規模プロジェクトなどでは計画立案だけに数ヵ月単位の時間をかけることも珍しくありません。

ただし、入念に立案した計画でもすべて予定どおりに進むことはまれです。ベンチャー企業におけるリーンスタートアップのように見切り発車的な手法を取り入れるのも選択肢の一つです。リーンスタートアップは、多大な時間・資金・労力をつぎ込んだ製品やサービスが無駄になることを避けるために行われます。ベータ版や、それ以前の製品やサービスを市場に出し、修正を繰り返していく事業展開手法です。あえて小さな失敗を繰り返すことで損失を避ける方法といえるでしょう。

撤退基準を明確に設定しておくこと

相場の格言に「見切り千両」というものがあることをご存じでしょうか。投資における損切りには精神的苦痛がともなうことを示す言葉です。新規事業が軌道に乗らない場合にも、なかなか撤退できずに損失が拡大してしまう場合があります。そうした事態を避けるためには、撤退基準を明確に設定しておくことが重要となるのです。撤退基準としては、期間に応じた売り上げや利益などの財務指標やKPI(Key Performance Indicator)が使用されます。

失敗を成功の糧にすること

これらの施策に加えて、失敗を成功の糧と捉える発想も取り入れたいものです。新規事業の第一の目的は売り上げや利益の拡大ですが、副次的な目的としてプロジェクトメンバーの人材育成を据えてみてはいかがでしょうか。仮に新規事業から撤退した場合にも、この副次的な目的は達成できる可能性が高いといえます。

中小企業は他社の新規事業の失敗を意識し、成功に近づけよう

失敗の要因を理解し、成功確率を高めることは重要です。そのため、データから失敗を織り込んだ事業計画を立案することも理性的な経営と呼べるのではないでしょう。新規事業はスピードも大切ですが、ひとつひとつ着実に進めていくことも大事な要素です。新規事業を進める時には上記で示した3つの施策を検討してみてはいかがでしょうか。

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中小企業オーナーが真似をしたい大企業の3つの人材育成の方針とは

HRD

(写真=Michail Petrov/Shutterstock.com)

中小企業が抱える課題の一つとして従業員に対する人材育成が挙げられます。各社とも創意工夫して人材育成手法を取り入れていると考えられますが、特に成果を上げている企業の人材育成手法を参考にするのも効果的といえるでしょう。そこで、大手企業における、ブランド価値やイノベーションにつながる人材育成や、生産現場における安全に関する人材育成の手法を紹介します。

オリエンタルランド「キャスト」の人材育成

TDR(東京ディズニーリゾート)は2023年をめどに約100ヘクタールの敷地を3割程度拡張する計画であることが報じられています。2016年6月には4つ目のディズニーホテルとして東京ディズニーセレブレーションホテルをオープンさせており、さらなる集客に向けて積極的に設備投資を行っていることがうかがえます。

年間3,000万人ものゲストが来園する2つのテーマパーク運営に欠かせないのが、アルバイトやパートとして働く「キャスト」の存在です。TDRの確固たるブランドイメージやサービス品質を守るため、キャストに対する人材育成は運営会社であるオリエンタルランドの重要課題でもあります。

キャストにはディズニーの理念ともいえるSCSEと呼ばれる行動基準が徹底されています。Safety(安全)、Courtesy(礼儀正しさ)、Show(ショー)、Efficiency(効率)の4つの要素は目指すべき価値観であるとともに、安全性を最重要とする優先度を示すものでもあります。

こうした理念や目標を掲げる企業は多くありますが、オリエンタルランドには、それらが単なる標語に終わってしまわないための工夫があります。同社ではSCSEの行動基準が入社時の全体研修から各部門での個別研修まで、あらゆる段階に落とし込まれているのが一つの特徴です。

また、キャストには5つのグレード(資格)が設定され、能力の向上を目指します。各段階で求められる目標がSCSEに沿って設定されているのです。さらに、キャストには年に2回の評価面談が行われ、そこでも自分のパフォーマンスがSCSEに沿って評価できるようになっています。こうした各フェイズにおける行動基準の活用は、中小企業においてもおおいに参考になるのではないでしょうか。

マツダの共創を担う人材育成

2016年、マツダのロードスターがワールド・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。同時にワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーも受賞するという快挙でした。マツダはかねてよりイノベーティブな組織風土でも評価が高い企業です。こうしたマツダのイノベーションを支えるのが「課題形成」と「共創」を重視した人材育成といえます。

同社では、専門的な技能を向上させるのはもちろん、多様な人材と協働する上での共通言語となる課題形成力と共創によるイノベーションを重要視しています。このような2つの目標を、上記のディズニーの例と同様、各ポジションにおける研修制度にも反映させているのがマツダにおける人材育成の特徴です。専門知識が細分化すると同時に多様性が求められる現代社会においては、マツダが重視する「他者との共創によるイノベーション」がますます価値を持つものと考えられます。

安全を担う人材育成で成功した事例

2013年に株式会社労働調査会が公表した厚生労働省委託事業「次代の安全の中核を担う人材育成好事例集」というものがあります。内容は、特に製造業や建設業に属する中小企業の人材育成にとって示唆に富むデータベースが中心です。以下では事例集の中から株式会社明治十勝帯広工場(事例26)を紹介します。

同社の帯広工場では安全衛生教育を10~20代、30代、40代、50代以上という年齢階層別に実施しています。これは年代によって教育の力点が異なることを考慮した方法といえます。具体的には、若手の従業員には安全衛生の基礎的な部分を教えることがメインです。一方で、仕事に慣れが生じてきた年代では、高度な知識だけでなく、逆に基本に立ち戻ることも重視されています。こうした発想は安全教育には、特に有効なものといえるでしょう。

また、同社では3交代制をとっているため、交代による始業時にはミーティングでショートタイム危険予知訓練(SKYT)を実施します。つまり、「どのような危険が潜んでいるか」について、あらかじめ思考訓練を行うのです。生産工場などで一般的に行われているヒヤリハットや5S運動に加えて、こうしたミーティングを短時間でも取り入れることは、安全意識を高める上で効果的な方法といえるでしょう。

中小企業は解決すべき課題を明確にして、人材育成を行うことが吉

今回、紹介した各社の人材育成手法は、それぞれが重視する目標に応じて導入されているものです。まずは自社が解決すべき課題を明確にした上で、人材育成手法の開発や改善に取り組むと効果が期待できるでしょう。

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中小企業が退職金のために備えておきたい共済制度。それが「中退共」

Severance Pay

(写真=designer491/Shutterstock.com)

中退共(中小企業退職金共済)は、従業員に支給する退職金の原資を準備しながら、企業側の節税も行うことができる制度です。以下では、類似の制度である小規模企業共済や民間の生命保険にも触れながら、中退共の仕組みやメリット、デメリットを解説します。

中退共(中小企業退職金共済制度)とは

中退共は、1959年に中小企業退職金共済法に基づいて設けられた国の退職金制度です。掛金に対して国からの助成があることも特徴のひとつです。事業主が中小企業退職金共済事業本部(中退共本部)との間で従業員を対象とした「退職金共済契約」を締結することで加入できます。

毎月、事業主の負担で共済掛金を納付することにより、将来において従業員に支払うべき退職金の原資を準備することが可能です。従業員が退職した際には、従業員が中退共本部に請求することで、退職金が中退共本部から従業員に対して直接支払われるという特徴があります。

掛金月額は5,000~3万円の16種類から従業員ごとに選択することが可能です。また、パートタイムの場合は16種類に加えて、2,000円、3,000円、4,000円の3種類の「特例掛金月額」を選択することもできます。

具体的には、初めて中退共制度に加入する事業主に対しては「新規加入助成」となります。加入後4ヵ月目から1年間にわたり従業員の掛金月額における1/2(従業員ごとの上限5,000円)が助成されるのです。また、掛金月額を増額変更する事業主に対しては「月額変更助成」として、1年間にわたり増加額の1/3に相当する金額が助成されます。

中退共(中小企業退職金共済制度)のメリット

中退共のメリットとしては、上記の掛け金に対する助成があるほか、掛け金の全額が法人の損金や個人事業の経費にできるという税務上の取り扱いが挙げられます。また、毎月の掛け金は給与所得に該当しませんので、事業主が源泉所得税を徴収して納付する必要もありません。

従業員にとっても、退職金を一時金として受け取る場合には退職所得とされるため、ほかの所得と比べて税務上の優遇を享受することが可能です。退職所得には勤続年数20年までは1年ごとに40万円、20年を超える年数については1年ごとに70万円の退職所得控除額が認められています。

例えば、勤続年数25年の従業員が退職して退職金を一時金で受け取る場合には、1,150万円(=20年×40万円+5年×70万円)までの退職金であれば所得税がかかりません。税務上のメリット以外にも、従業員が転職する際、すでに積み立てられている退職金を一定の要件のもとで、ほかの企業の中退共などに引き継ぐことができるというメリットがあります。

中退共(中小企業退職金共済制度)のデメリット

一方で、中退共で留意すべき点としては、加入条件が挙げられます。中退共に加入できるのは、卸売業であれば常時雇用する従業員数が100名以下または資本金1億円以下が要件です。小売業であれば常時雇用する従業員数50名以下または資本金5,000万円以下などの要件を満たす企業になります。

特定業種の退職金共済に加入している場合は、重複して中退共に加入することはできません。また、退職金支給の対象となるのは従業員だけであり、事業主や法人の役員も基本的に加入は不可です。これら具体的な要件については、中退共本部が配布するパンフレットなどで対象となっているのかをよく確認することをおすすめします。

また、掛け金の納付期間が1年未満で退職した場合には退職金がまったく支払われないほか、2年未満で退職した場合には掛金額より退職金額が少なくなります。

退職金には小規模企業共済や民間の生命保険の活用も検討しよう

事業主や法人の役員は中退共に加入できないため、オーナー会社などで退職金を利用した節税などを考えている場合もあるでしょう。対策としては事業主や会社役員を対象にした小規模企業共済や民間の生命保険会社の商品を活用する方法が検討できます。

小規模企業共済では、毎月の掛け金は1,000円~7万円まで500円単位で設定可能です。さらに、掛け金の全額が所得から控除することができます。また、民間の保険商品では、加入後に解約返戻金が最大化する時期や損金算入のパターンなどで選択肢の幅が広がるでしょう。それぞれの制度や商品設計の特色を理解したうえで、節税と退職金対策を使い分けることが賢明です。

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中小企業経営者が知っておきたい3種類の補助金とは

(写真=Dominik Bruhn/Shutterstock.com)

中小企業者が利用できる補助金にはさまざまな種類のものがあります。以下では、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、東京都の分煙環境整備補助金を中心に紹介します。

ものづくり補助金

日本経済を活性化するためには中小企業などによる革新的な製品やサービスの創出が不可欠です。そのような認識のもと、政府でも革新につながる事業活動を後押ししています。その中心的な施策となっているのが「革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金」(通称「ものづくり補助金」)です。

● 補助対象
ものづくり補助金の補助対象となっているのは、経営力向上に資する革新的サービスの開発、試作品の開発、生産プロセスの改善を行うための設備投資です。ものづくり補助金は毎年実施されている事業ですが、年によって条件は異なっています。そのため、具体的な支給要件、公募期間、申し込み手続きなどは公募要領で確認することになります。

● 補助金の上限
補助金の上限は条件に応じて1,000万円、500万円などが基本となっている傾向です。特に、第4次産業革命に向けてAI、IoT、ロボットを活用する革新的ものづくりに対しては3,000万円となっています。対象となる経費支出のうち2/3以内が補助されるのが一般的です。

● 公募状況
補助金の公募は2017年1月で締め切っています。しかし、2017年11月の商工会全国大会で安倍首相が2017年度補正予算に、ものづくり補助金を盛り込むと言及したという報道もあり、今後の継続が期待されています。

小規模事業者持続化補助金

ものづくり補助金より小ぶりな補助事業として、小規模事業者持続化補助金があります。

● 補助対象
小規模事業者持続化補助金は、卸売業や小売業であれば従業員5名以下の事業者など一定の規模以下の小規模事業者が対象です。対象事業としては、商工会議所などの支援を受けながら経営計画にもとづいて実施する販路開拓、業務効率化、生産性向上となっています。

● 補助金の上限
対象経費の2/3以内を補助するという形式はものづくり補助金と同様ですが、補助金の上限は原則として50万円と比較的少額です。小規模事業者持続化補助金についても、公募は2017年5月でいったんは締め切っていて、2018年以降に継続されるかどうかは予算の成立に依拠しています。

● 公募状況
金額的にホームページ作成やPOSシステムの導入などにも向いている補助金です。興味のある事業者の方は日本商工会議所などのホームページで公募情報をこまめにチェックするといいでしょう。

東京都の分煙環境整備補助金

訪日外国人の増加やインバウンド市場の拡大は経済活性化を目指す自治体にとっても重要な施策です。東京都では、外国人旅行者が快適に宿泊施設や飲食店を利用できるよう分煙環境の整備に対する補助事業を行っています。それが分煙環境整備補助金です。

● 補助対象
分煙環境整備補助金は、多言語対応に取り組む宿泊事業者や飲食事業者が対象です。

● 補助上限
喫煙室の設置、エリア分煙、フロア分煙などの措置に必要な設備および備品の購入、改修工事などの経費を補助するものです。直近の2017年度では、1施設につき300万円を限度に対象経費の4/5まで補助金が支給される内容となっていました。

● 公募状況
同様の設備購入に活用できる補助事業は各自治体でも実施されている可能性がありますので、事業所のある自治体のホームページなどで確認してみることをおすすめします。

補助金とともに、税務上の優遇策なども合わせて活用

補助金は支出した経費のうち一定割合の資金援助を受けるものですが、設備投資に対して税務上の優遇策を活用することも合わせて検討してみる価値があります。

例えば、中小企業等経営強化法も注目のひとつです。「経営力向上計画」を作成して認定を受けた事業者は、計画にもとづいて取得した設備などに対して固定資産税や法人税の優遇措置を受けることができます。

固定資産税の特例では3年間にわたって税額が半減されます。また、法人税においては、設備などを1年で費用化できる「即時償却」「取得価額の10%」を税額から控除可能です。中小企業経営強化税制はこれらの特別控除を選択できる制度になります。

以上のような補助金施策や税務上の優遇措置をうまく活用すれば、支出を抑えながらも事業拡大につながる設備投資を行うことが可能です。今回紹介した施策などを足掛かりとして、今後の政府の動向をふまえながら、情報収集に役立てていきましょう。

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個人事業主が赤字収支になった時にできる3つの対処法

(写真=A Lot Of People/Shutterstock.com)

個人事業で収支が赤字になった場合の対応策には、損益の改善、資金繰り、繰越控除制度などの対処方法が挙げられます。今回は、個人事業主が赤字収支になった時にできることについて紹介します。

赤字収支は損益の改善が根本的な治療になる

個人事業主が赤字収支になることはめずらしいことではありません。国税庁が2017年5月に公表した「平成28年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」によると、2016年度における事業所得者の確定申告人員数は約378万人です。そのうち「申告納税額のないもの」が約120万人、還付申告者が約84万人を占めます。

この数値からは、所得が発生していない事業所得者が多いということが読み取れます。もちろん、税務上の所得とお金の出入りを意味する収支は完全に一致するわけではありません。しかし、恒常的に所得がマイナスであれば、収支も悪化する可能性も増えることでしょう。

収支が赤字になった場合には、損益の改善を図ることが根本治療となります。最終損益は利益から費用を差し引いたものです。損益の改善は、「収益を向上させる方法」と「費用を削減する方法」の両面から対応が考えられます。

● 個人事業主が「収益を向上する方法」
採算の良くない顧客や商品を発見し、取引を見直すことです。売上から原価を引いた粗利で収益性が高いと思っていても、販売に至るまでに紐付けられる費用をすべて差し引くと赤字となっていたというケースもあります。顧客や商品別に利益分析できていない場合には、専門家と相談しながら詳細に分析してみることもひとつの方法です。

● 個人事業主が「費用を削減する方法」
交際費、広告費、新聞図書費、消耗品費、通信費などの中で収益に貢献していない無駄な費用がないかを再確認することです。具体的には、会計ソフトの総勘定元帳で、それぞれの費目をチェックすることが効果的といえるでしょう。

また、必要な経費であっても、価格交渉や相手先の見直しで費用削減につながることがあります。例えば、仕入価格や事務所の家賃を値下げ交渉したり、複合機のリース先や電話、インターネットのプランを変更したりすることもおすすめです。

赤字収支時の資金繰りは応急処置

上記のような根本治療と並行して、赤字収支によって資金ショートを起こさないように応急処置することも重要です。資金繰りを改善する手段としては、下記の4つが挙げられます。

● 回収条件の変更を検討する
得意先に対する請求を「月締め」から「販売の都度」に変更してもらう余地はないか、締め後「45日払い」から「30日払い」に変更できないかなどの検討が重要です。

● 支払条件の条件変更を打診する
仕入先や経費支払先に対して条件変更を打診するといった方法があります。ほかにも、銀行振込からクレジットカード支払に変更することで1ヵ月ほど資金的余裕を持たせるという方法もできるでしょう。

● 国民生活金融公庫などの公的融資を受ける
また、日本政策金融公庫などの公的融資を受けるという選択肢もあります。特に、経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)は、おすすめです。直近の決算期における売上高が前期または前々期と比べ5%以上減少しているなど、一時的に業績が悪化していることが融資条件となっていますので、赤字収支となった時の運転資金確保に向いています。

● ビジネスローンやファクタリングを利用する
ほかにも民間金融機関のビジネスローンを活用する方法やファクタリング会社で債権を資金化するという方法があります。ファクタリングは、すでに発生している売掛金や貸付金などの金銭債権を買い取ってもらう手法を指します。ファクタリング手数料を差し引かれた額が早期に資金化できますので急な資金繰りには重宝するでしょう。

個人事業主は赤字収支の時には繰越控除を使い、アフターケアを行う

赤字収支となり、所得税の確定申告でも純損失が発生した際には、その純損失を翌年以降3年間にわたって繰越控除することができます。つまり、翌年以降に所得が発生しても、そこから過去の純損失を差し引くことができるので、節税することが可能です。この純損失の繰越控除制度を利用するためには青色申告をしている必要があります。

また、前年にも青色申告をしている場合には、純損失の繰越控除の代わりに、純損失に相当する額を前年の所得税から還付してもらうことも可能です。この純損失の繰戻還付制度も青色申告の特典になります。

青色申告は一定水準の帳簿を整備して税務申告を行うことにより、さまざまな税務上の特典を享受できる制度です。新たに青色申告を開始したい場合は、開始したい年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

赤字収支時の処置後にも、最終利益が計上出来るように活用を

以上のように、赤字収支への対応としては、根本治療となる損益の改善、応急処置となる資金繰り対策、アフターケアとなる繰越控除の活用など手段はさまざまです。応急処置に含まれるビジネスローンやファクタリングなどによる資金調達方法は手っ取り早い解決策ですが、利子や手数料の負担を十分踏まえた上で、最終利益が計上できるように活用していきましょう。

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売上が1,000万円を超えた時に個人事業主が注意すべきこととは

(写真=NicoElNino/Shutterstock.com)

個人事業主にとって売上高が1,000万円を超えるというのはひとつの区切りを迎えることであり、達成感のある数字でもあります。しかし、売上高1,000万円というのは消費税の課税事業者に該当するかどうかの基準となっているため、注意が必要です。

「このまま個人事業主でいるのか」「法人にしたほうが良いのか」を考える契機にもなります。ここでは、個人事業主が売上高1,000万円を超えた時の判断基準について解説します。

意外と複雑な消費税の仕組み

消費税と聞くと、代金に8%などの税率を掛けて計算するだけのシンプルな税金という印象を持っている方が多いかもしれません。しかし、消費税は税金を負担する者と税金を納付する者が異なる「間接税」であり、実際に納税する個人事業主にとっては意外と複雑な処理が要求されます。

消費税の基本的な仕組みは、お客様から受け取った消費税から仕入や経費に含まれる消費税を差し引いて差額を納付するというものです。ただし、売上などの取引には「課税」、「免税」、「非課税」、「不課税」といった分類があり、これらを区別して処理しなければなりません。

例えば、同じ家賃収入でも事務所として貸した場合は課税売上、住宅として貸した場合は非課税売上になります。ほかにも法務局で買った印紙は非課税仕入であるのに対して、金券ショップで買った印紙は課税仕入になるというような細かな違いもあるのです。納税する消費税額を計算する方法にも、原則課税方式(個別対応方式)、原則課税方式(一括比例配分方式)、簡易課税方式といった複数の方法があります。

これまで消費税の納税義務が免除されていた個人事業主も売上高が1,000万円を超えてくると、課税事業者に該当する可能性があるのです。税金支払いの面でも、事務処理の面でも負担が増えるため注意が必要です。

課税事業者の具体的な判断基準は?

課税事業者の判定は、個人事業主の場合、前々年の1~12月(基準期間)の課税売上高(税抜)が1,000万円を超えるかどうかで行います。課税売上高は税抜で判定されるものの、免税事業者であった場合、たとえ得意先から消費税に相当する金額を受け取っていても、その総額が税抜の売上と判断されるので注意しましょう。

また、一般に輸出売上は免税取引とされますが、免税取引は「0%課税」という位置づけであるため、上記の課税売上には含まれます。AmazonなどのECサイトを通じて海外向け販売を行っている人は注意が必要です。

基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、前年の1~6月(特定期間)の課税売上高が1,000万円を超える場合には課税事業者となります。ただし、課税売上高に代えて給与等支払額で判定することもできますので、給与等の総額が1,000万円以下であれば課税事業者にはなりません。

「法人成り」という方法

上記のような消費税に関する判断に加え、売上高が1,000万円を超えてくる場合、所得税の負担を考慮して法人を設立することも視野に入ってきます。個人事業主から法人に移行することを「法人成り」と呼びますが、この法人成りには明確な金額基準があるわけではありません。なぜなら、法人で事業を行ったほうが税務上有利になるかどうかは最終的な所得や家族構成によっても異なるからです。

売上高1,000万円といっても、業種によって最終的な所得の水準はさまざまです。例えば、ほとんど仕入や経費がかからないコンサルティング業をメインにしている人であれば、事業所得が1,000万円近くになる可能性があります。一方、ネット通販で最終利益率が15%程度になるという人であれば、事業所得が150万円程度になるでしょう。

一般的には、所得が高くなればなるほど、法人成りした方が税金対策としては有利になります。これは、所得税の税率が所得水準に応じて高くなる「超過累進税率」という仕組みをとっているためです。なお、2017年度の所得税の最高税率は45%となっています。

仕入や経費を差し引いた後の事業所得が1,000万円を超え、基礎控除や青色申告特別控除以外に控除できる金額があまりないという人もいるでしょう。その場合は、所得900万円超1,800万円以下に該当し、所得税率が33%となる可能性もあります。

これに対して、中小法人の法人税率は所得800万円までは15%、それを超える部分は23.4%(2018年3月31日までに事業開始をした場合)となっています。つまり、このような場合には法人成りすることによって税金の支払額を抑えることができる可能性が高いというわけです。

所得税率だけでは判断できない

ただし、これらの判断は所得税と法人税だけの比較ではなく、個人の住民税、健康保険料や年金保険料、法人を設立してからの法人住民税、事業税などのトータルで考える必要があります。目安としては、収入から仕入や経費を差し引いた所得に相当する額が800万円程度になってきたら、税理士などの専門家に法人成りの相談してみるのもひとつの方法でしょう。個人事業主にとって1,000万円の売上達成は喜ばしいことです。

しかし、個人事業主と法人の税制の違いを踏まえて、専門家と相談することも大切といえます。売上増加を目指しながら、節税対策も視野に入れて事業拡大をしていきましょう。

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ポイントは4つある 『医療法人会計基準』を徹底解説

(写真=Fh Photo/Shutterstock.com)

国は2014年に医療法人会計基準を定めました。従来、医療法人の会計処理については明確な基準はなく、簡素な会計処理が行われていました。しかし、2014年3月に厚生労働省医政局長より医療法人会計基準についての通知が発行され、「一般に公正妥当と認められる会計の慣行」を具体化するものとして、『医療法人会計基準』が制定されました。これは、2016年の医療法の改正を受けて、一定基準を満たす医療法人に関しては義務化されています。

簡単にいえば、医療法人会計基準とは、従来は簡素化されてきた医療法人の会計が、より、一般的な企業と同じような基準によって行われるようになったと言えるでしょう。

純資産の部にかかる会計処理を規定

医療法人会計基準は、純資産の部にかかる会計処理を規定したものです。少し難しい印象をもたれる方が多いのではないでしょうか。以下、ポイントを絞って説明します。

● ファイナンスリース取引
ファイナンスリース取引とは、リース契約期間中に中途解約を行うことができないリース取引を示します。医療法人においては高額のリース契約を行っている場合が多いことから、ファイナンスリース取引について、医療法人会計基準において定められました。

具体的には、リース料総額が300万円未満の取引や、リース取引開始日が医療法人会計基準適用前の年度の場合には賃貸借処理を行うことができると定められました。

ファイナンスリース取引は資産に類似した扱いをされることもありますが、医療法人会計基準においては、上記に該当した場合には、「借りている」という処理を行い、費用として計上することと定められたのです。

● 退職給付会計
退職給付会計とは、企業が従業員の退職金を積み立てる際に、積立金に一定の割引率を乗じて毎年費用計上する会計処理です。医療法人会計基準においても、この退職給付会計が採用されました。

● 固定資産の減損処理
固定資産の減損処理とは、資産の収益性の低下によって、投資額の回収が見込めなくなった場合に、資産の価格を回収可能な金額まで減少させる会計処理です。

医療法人の場合には、製造業などのように、急激な技術革新などによって減損処理を行う必要がないため、原則的に減損処理の基準は適用されません。しかし、時価の著しい下落に伴う評価減の際には、使用価値を考慮することができると定められています。

● 税効果会計
税効果会計とは、会計と税務にずれがある場合に、会計上の利益である税引前当期純利益と、法人税の税額を調整する会計上の手続きを示します。

例えば会計上「減価償却繰入超過額」がある場合には、税務上は、この費用は損金(税金計算上の費用)とはならないため、税引前純利益に、減価償却繰入超過額を加えて計算します。要するに、税金の支払いの際に、その期では損金算入できない費用を繰延税金資産として資産化して翌期まで取っておくのが税効果会計なのです。

医療法人会計基準では、原則税効果会計を適用しない場合も考えられる旨が定められています。

曖昧だった会計基準が明瞭化

医療法人会計基準は、医療法人だけに適用される会計基準です。医療法人は売上である医療報酬の大部分が保険料で賄われるため、会計基準に曖昧な側面がありましたが、医療法人会計基準の導入によって、医療法人についても会計基準が明瞭化されました。

会計士や税理士に相談すれば、医療法人会計基準に基づいて処理を行ってくれます。

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中小企業の良い決算書と悪い決算書の見分け方

(写真=PIXTA)

自社の決算書が良いのか悪いのか、分かっている人は実はそれほど多くないでしょう。特に、中小企業の経営者は、毎月の支払いなどの資金繰りで頭がいっぱいになり、決算書の良し悪しには頭が回らないという人が多いものです。

しかし、銀行から融資を受けるのに重要なのは決算書だと言われています。
銀行から融資を受けやすい決算書とは、どのようなものなのでしょうか。

中小企業決算書の重要ポイントは大きく2つ

中小企業の決算書の評価となる重要ポイントは大きく分けて2つです。
「営業利益は出ているか」「債務超過でないか」という点に銀行は着目します。

● 営業利益
営業利益とは、簡単に言えば「本業でいくら儲けたか」を示す指標です。
営業利益が出ていない会社は本業で儲けることができない会社であるとみなされてしまいます。

営業利益とは、売上−売上原価で求められる売上総利益から、通常の営業で必要になる人件費、光熱費などを差し引いて求められる利益であり、まさに本業によっていくら儲けたかどうかの指標です。
本業で赤字を出している会社は、これ以上商売を行っても赤字を拡大するだけという解釈となってしまいます。

具体的には3期連続営業赤字となっている会社について銀行は「これ以上営業を続けても再建の見込みがない」と判断し、審査に通過するのはかなり難しくなります。

● 債務超過
債務超過とは、自己資本がマイナスとなっている状態を示します。
企業の資産をどの程度の割合で負債と自己資本で調達しているかを示すのが貸借対照表です。
債務超過とは、負債の総額が総資産以上に大きくなり、資本がマイナスとなっている状態を示します。

健全な貸借対照表の例

資産

1,000万円

負債

500万円

 資本

500万円

総資産1,000万円のうち、半分が負債、半分が自己資本

債務超過企業の貸借対照表の例

資産

1,000万円

資本

1,200万円

負債

▲200万円

負債が膨らみ、資本がマイナスになっています。

この状態になると、銀行からの目線では、「この会社は銀行の融資がストップした時点で倒産する」とみなされるため、審査に通過するのは非常に困難になります。

債務超過でも利益が出ており、いずれ解消できる見込みであれば問題ない

債務超過と一口に言っても、バブル崩壊、リーマンショックなどの社会的な不況を経て、国内の中小企業の債務超過は全く珍しいことではなくなりました。
大きな赤字が出て、その赤字分を銀行からの借入れで補った場合には、大きな債務超過になってしまうことも多々あります。

特に、中小企業の場合は銀行の借入れから資金調達しているケースが多く、規模の小さな企業ほど債務超過に陥ることも多いと言われています。

債務超過であっても、営業利益が出ている会社は「一過性の赤字によって、債務超過となったが、今後は本業が回復することから債務超過は解消に向かう」という解釈を銀行は行います。
しかし、問題なのは、債務超過と3期連続営業赤字が並行しているケースです。

ただでさえ、資本がマイナスの状況であるにもかかわらず、本業でも回復の見込みが立たない企業について、これ以上支援を継続しても銀行にとってリスクが大きくなるだけだと解釈します。

企業にとっての「体力」である資本が枯渇している上、本業でも利益を出せていない場合には、ひと言で言うと「融資を止めたほうがいい企業」という解釈となり、融資を受けることは難しいとされています。
債務超過の企業は銀行融資なしでは資金的な体力がないため、しっかりと利益を出し、良い決算書にしていく必要があります。

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中小企業こそIoTを活用するメリットとは?

(写真=Panchenko Vladimir/Shutterstock.com)

人口減少や少子高齢化に伴う労働力低下の影響で日本は今後、世界でも類を見ない危機に見舞われることが予想されています。そのような状況に立ち向かうために、各企業には、生産性の向上や商品・サービスの付加価値創出が求められています。

では、各企業はどのようにして生産性を上げ、商品・サービスの付加価値を生み出していけばいいのでしょうか。そのヒントとなっているのが、「第4次産業革命」です。第4次産業革命のキーワードは大きく3つあります。「IoT(モノのインターネット)」「ビッグデータ」「AI(人工知能)」です。これらの新しい技術を活用することで、生産性の向上や商品・サービスの付加価値創出を各企業が実現しやすくなると考えられています。本記事では「IoT」に着目して、その具体的な内容を解説していきます。

私たちの暮らしを良くするIoT

そもそもIoT(アイ・オー・ティー)は「Internet of Things」を意味する言葉です。かつてインターネットは、パソコンやサーバー、プリンタなどのIT機器と連動する形態が主流でした。しかし現在では、技術革新によってあらゆるモノがインターネットとつながるようになっています。

たとえば、「手のひらのパソコン」とも言われるスマートフォンはパソコンと異なり、どこにでも持ち運ぶことができます。その結果、私たちは常にインターネットに接続している状態を実現しました。場所や時間を問わず情報検索やデータ共有ができるようになったのです。

私たちが日常で使用している家電もそうです。冷蔵庫や洗濯機、湯沸かしポットなどをインターネットに接続することによって、情報(データ)が集約・可視化され、ユーザーにとって利便性が高まるように家電が最適化していきます。つまり、モノの価値そのものが高まるのです。

IoT導入のメリット・デメリット

中小企業がIoTを導入する最大のメリットは、「ネットワークによる効率化」です。IoTによってあらゆる機器がつながり、ネットワークが形成され、離れた場所にあるモノの状態を知り、環境(温度、湿度、騒音、明るさなど)を把握することが可能となります。

たとえば、「工場設備の一元管理」や「世界にある工場への受発注」なども、IoTによって実現できます。ネットワークにつながると、工場で働く人が費やす時間や労力を減らし、工場の稼働効率化に大きく寄与するのです。また、既存の古い機械をカスタマイズしてネットワークに組み込むことも可能です。

ただし、IoTはまだ新しい技術です。そのため、導入には多額のコストがかかるというデメリットもあります。費用対効果を踏まえた上で導入を検討することが大切です。総務省の調査によると、国ごとにIoTにおける投資と効果の関係は異なっているのが現状です。今後の動向にも注目しておきましょう。

中小企業はIoTを活用しよう

多額の投資が必要なIoTですが、導入する際には国の補助金を活用することも可能です。中小企業庁が2017年度までに補助・支援したものには「ものづくり・サービス補助金」や「サポーティング・インダストリー支援事業」などがあります。

・ ものづくり・サービス補助金(革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金)
従来からある補助金制度に「第四次産業革命型」の内容を新設。各企業がAI、IoT、ロボット等の技術を活用し、“革新的”なものづくりやサービス開発を行うための投資等を支援する。補助上限額3,000万円(補助率3分の2)。

・ 戦略的基盤技術高度化支援事業(サポーティング・インダストリー支援事業)
ものづくりの基盤技術に強みがある中小企業などが、大学・公的機関などと連携して行う研究開発、試作品開発、販路開拓などに対して、補助金などで支援する。補助上限額は初年度4,500万円、2年目は初年度の3分の2、3年目は初年度の2分の1(補助率3分の2、定額)。
※中小ものづくり高度化法に基づく計画を申請し、認定を受けることが必要。

また、企業の中には10万円ほどの低予算でIoT化を実現している会社もあります。経済産業省が発表している『中小ものづくり企業 IoT 等活用事例集』には、具体的な事例が掲載されていますのでぜひ参考にしてください。IoTを導入して、生産性の向上や商品・サービスの付加価値創出を実現しましょう。

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